フルリノベーションマンションと新築、住むならどっち?金利・管理費・修繕積立金まで総額で比較

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新築は高すぎる。でもリノベ済みの中古で、あとから後悔しない?

先に結論:住むために買うなら、見るべきは物件価格ではなく「毎月の支払いの合計」です。

  • フルリノベ済み中古は、購入価格が新築より数千万円安い一方で、管理費・修繕積立金が最初から高め。建物の古さによる「リノベで直せない部分」もあります。
  • 新築は、ローン控除の枠が大きく設備も新しい一方で、修繕積立金が安く設定され、10〜15年後に上がるのが一般的です。
  • 2026年9月は、変動金利が1.2%台、フラット35が3.46%まで上がっています。借入額の差が、そのまま利息の差になる時代です。

この記事では、居住用として買う人に向けて、住宅ローン、控除、管理費、修繕積立金、固定資産税までを図解で比較します。価格を入れるだけで月々の支払いと35年総額を比べられるシミュレーターも用意しました。

30秒でわかる比較表

比べること新築マンションフルリノベ済み中古
購入価格(首都圏)平均9,182万円中古の平均は約5,200万円(リノベ済みはこれより高め)
住宅ローン控除枠が大きい(最大5,000万円・13年)業者が売主の「買取再販」なら新築と同じ枠。個人売主は枠が小さめ
管理費+修繕積立金最初は安め、あとから上がる最初から高め、上がり方は計画次第
固定資産税建物分の減額あり(一定期間)建物の評価が低く、もともと安め
直せない部分ほぼなし窓サッシ、玄関ドア、共用配管、天井高、耐震性

新築価格:不動産経済研究所(2025年・首都圏)、中古価格:東日本不動産流通機構(2025年・首都圏の成約平均)、控除:令和8年度税制改正。

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筆者より:大手不動産会社で査定・物件調査と売買仲介に携わってきました。リノベ済みマンションの相談で多いのは、「室内がきれいで決めたけれど、管理費と修繕積立金が思ったより高かった」「窓の結露や隣の音はリノベでは直らなかった」という声です。新築の相談では、「数年後に積立金の値上げ案内が来た」という話をよく聞きます。どちらも、買う前に数字で比べておけば防げることです。

! 2026年9月29日に全面更新しました。旧版は「投資目線」で利回りを比べる内容でしたが、自分が住むために買う人向けに作り直しました。2026年9月の住宅ローン金利、令和8年度税制改正後の住宅ローン控除、最新の管理費・修繕積立金のデータを反映しています。
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フルリノベーションマンションとは?3つの買い方

フルリノベーションとは、部屋の中を一度コンクリートの骨組み(スケルトン)の状態まで解体し、間取り・内装・キッチンや浴室などの設備・部屋の中の配管や電気配線までつくり直すことです。部分的に直す「リフォーム」とは規模が違います。

① リノベ済み物件を買う

不動産会社が中古を買い取り、リノベして売る「買取再販」。

◎ すぐ住める・完成品を見て決められる
△ 業者の利益がのる・見えない所の工事内容が分かりにくい

② 中古を買って自分でリノベ

物件選びと設計を自分で決める。

◎ 間取りを自由に決められる・工事を見られる
△ 入居まで数か月、工事費の分のローンも必要

③ 新築マンション

建物も設備もすべて新品。

◎ 性能・保証・控除が手厚い
△ 価格が高い・完成前に買うことが多い

この記事では主に①リノベ済み物件と③新築を比べます。②の自分でリノベする場合も、ローンや管理費の考え方は①と同じです。

価格差はどれくらい?2026年の首都圏

【図解1】新築と中古、首都圏の平均価格

新築は売り出し価格、中古は実際に売れた価格(成約価格)の平均。

出典:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ」、東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」。2025年の首都圏の新築発売戸数は21,962戸で、1973年以降で最も少なくなりました。

首都圏の新築は平均9,182万円、東京23区では1億3,613万円まで上がりました。新築の数が減り、建てる場所も限られるため、「住みたい駅で新築が出ない」という声も増えています。

フルリノベ済みの物件は、同じエリアの中古平均より数百万〜1,000万円ほど高く売り出されることが多いですが、それでも新築よりはかなり安く、駅に近い場所も選びやすいのが強みです。

住宅ローン金利と住宅ローン控除|新築とリノベで何が違う?

2026年9月の住宅ローン金利

変動金利

1.2%台

メガバンク・地銀の平均的な水準

10年固定

約3.8%

大手銀行

フラット35

3.46%

2018年以降で最高水準

出典:モゲチェック「住宅ローン金利2026年9月の最新動向」。日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%程度に引き上げており、変動金利はこの先さらに上がる見込みです。

金利そのものは、新築でもリノベ済み中古でも基本的に同じです。違いが出るのは次の3点です。

  • 借入額:新築は価格が高い分、借入額が大きくなり、金利が上がったときの影響も大きい。
  • 返済期間:築年数が古い物件は、金融機関によって35年ローンが組めない(返済期間が短くなる)ことがある。
  • 担保評価:リノベの工事費は建物の担保評価に反映されにくく、頭金を多めに求められることがある。

住宅ローン控除は「誰から買うか」で変わる

住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%が所得税・住民税から戻る制度です。2026年の改正で、中古住宅の枠も広がりました。ここで大事なのは、リノベ済み物件を「不動産会社から買う」場合は、新築と同じ枠になることです(買取再販住宅。一定の要件あり)。

【図解2】住宅ローン控除の借入限度額(2026〜2027年入居)

カッコ内は子育て世帯・若者夫婦世帯。棒の長さは一般世帯の限度額。

出典:令和8年度税制改正の内容をもとに作成。控除期間は省エネ性能のある住宅で13年、中古の「その他の住宅」は10年。中古住宅は1982年1月1日以降に建築された住宅(またはそれと同等の耐震性を証明できる住宅)が対象。築年数の古い物件は、省エネ基準の証明が取れず「その他の住宅」になることが多いので、契約前に確認してください。

リノベ済み物件で必ず聞くこと

  • 売主は不動産会社(買取再販)か、個人か
  • 省エネ基準適合などの証明書は出るか
  • 建築年と、耐震基準適合証明書が必要かどうか

管理費・修繕積立金|新築は「あとから上がる」、中古は「最初から高い」

ローン以外に毎月かかるのが、管理費と修繕積立金です。ここは新築とリノベ済み中古で考え方がまったく違うので、しっかり押さえておきましょう。

首都圏の平均(月額)管理費修繕積立金合計
新築(70㎡換算・2025年)21,691円10,148円31,839円
中古(1戸あたり・2025年度)13,895円13,910円27,805円

出典:東京カンテイ「三大都市圏 新築マンションのランニング・コスト」(2026年7月)、REDS「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金相場」(2025年度)。中古は専有面積が新築より小さい物件も含む平均です。

数字だけ見ると「新築の方が積立金は安い」ように見えます。しかし新築の多くは「段階増額積立方式」といって、最初は安く設定し、5年ごとなどに段階的に値上げする計画になっています。国のガイドラインでは、最初の金額は目安額の0.6倍以上、最後は1.1倍以内が望ましいとされています。

【図解3】修繕積立金は、この先どう上がる?(70㎡・月額のイメージ)

新築は段階増額、リノベ済み中古(築25年前後で購入)は長期修繕計画しだい。

01万2万3万 購入時5年10年15年20年25年
新築(月約1万円から段階的に約1.9万円へ) リノベ済み中古・計画が健全(月約1.4万円からゆるやかに上昇) リノベ済み中古・積立不足(値上げ幅が大きい)

新築は東京カンテイの新築平均(月10,148円)と、国土交通省ガイドラインの段階増額の目安(最終1.1倍以内)をもとに作ったイメージ。中古は首都圏中古平均(月13,910円)を起点にしたイメージ。個別の物件は長期修繕計画で確認してください。

新築で確認すること

  • 長期修繕計画の値上げのスケジュール(何年目にいくらになるか)
  • 購入時に払う修繕積立基金(数十万円のことが多い)
  • 管理費が高い理由(コンシェルジュ・共用施設など)

リノベ済み中古で確認すること

  • 積立金の残高と、次の大規模修繕の時期
  • 管理組合全体の滞納額
  • 過去の大規模修繕の実施履歴と、一時金の予定

ここで大切なのは、室内がどれだけきれいにリノベされていても、管理費と修繕積立金は「建物全体」で決まるということです。リノベ業者が変えられるのは部屋の中だけです。

フルリノベでも直せない部分|後悔の多くはここ

マンションには、自分の持ち物として工事できる「専有部分」と、住民みんなの持ち物である「共用部分」があります。フルリノベで新しくなるのは専有部分だけです。

【図解4】リノベで「新しくなる所」と「変えられない所」

建物全体(共用部分)

◎ 専有部分=リノベで新しくなる

間取り床・壁紙キッチン浴室・トイレ部屋の中の配管電気配線

× 共用部分=個人では変えられない

窓サッシ玄関ドアバルコニー共用の縦配管外壁柱・梁・床のコンクリート廊下・エレベーター

△ 建物で決まる性能

天井の高さ床の厚さ(遮音)耐震性断熱(外壁側)

窓サッシ・玄関ドア・バルコニーは、一般的な管理規約では共用部分(専用使用権)です。交換には管理組合の承認が必要で、個人では変えられないことが多いです。

よくある後悔原因内見で確認すること
冬に窓が結露する・寒い古い単板ガラスのサッシガラスが複層か。内窓(二重窓)の設置は可能か
上の階の足音が響く床のコンクリートが薄い床の厚さ(図面)、フローリングの遮音等級
水の流れる音・漏水共用の縦配管が古いまま共用配管の更新工事をしたか、予定はあるか
天井が低く、圧迫感がある建物の階高が低い梁(はり)の出っ張りと天井の高さ
地震が不安・ローン控除が使えない1981年5月以前の旧耐震建築確認日。1982年以降の建築か

見えない工事は「写真」で確認する

リノベ済み物件は、壁の中の配管や電気配線が見えません。「給水・排水管を交換したか」「工事中の写真はあるか」を売主に聞いてください。スケルトン状態の写真を見せてもらえる物件は、工事内容に自信があるサインです。反対に「表面だけきれいにした」物件は、写真が出てこないことが多いです。

総額シミュレーター|月々の支払いと35年の総額を比べる

検討中の物件の価格と条件を入れてください。住宅ローンの返済、管理費、修繕積立金(将来の値上げ込み)、固定資産税、住宅ローン控除を足し引きして、月々の支払いと35年間の総額を比べます。

新築

リノベ済み中古

前提:35年・元利均等・金利は一定。新築の修繕積立金は5年ごとに値上げし、20年目に当初の約1.8倍(国のガイドラインの段階増額の目安に沿ったイメージ)。中古は10年ごとに1割ずつ値上げ。固定資産税は新築=価格の0.35%(最初の5年は0.25%)、中古=0.28%で概算。住宅ローン控除は年末残高×0.7%(新築は選んだ省エネ性能の限度額、買取再販・個人売主の中古は省エネ基準適合住宅の限度額、証明なしは2,000万円・10年)で、納税額による上限は考慮していません。あくまで比較のための目安です。

新築とリノベ、あなたに向いているのはどっち?

【図解5】3つの質問で選ぶ

新築が向いている人

  • 断熱・遮音・耐震など建物の性能を重視
  • ローン控除を大きく使える世帯
  • 入居まで1〜2年待てる
  • 将来の積立金値上げを家計に織り込める

リノベ済み中古が向いている人

  • 駅近・住みたい街を優先したい
  • 借入額を抑えて金利上昇に備えたい
  • すぐに住みたい
  • 管理組合の資料を自分で確認できる

まとめ|「価格」ではなく「毎月の合計」で比べる

  • 首都圏の新築は平均9,182万円。中古の平均は約5,200万円で、借入額の差が金利上昇時の負担の差になる
  • 住宅ローン控除は、業者から買うリノベ済み物件(買取再販)なら新築と同じ枠。個人売主・省エネ証明なしは枠が小さい
  • 新築の修繕積立金は最初は安く、あとから上がる。中古は最初から高く、計画しだいで大きく上がることもある
  • 窓・玄関ドア・共用配管・床の厚さ・耐震性はリノベでは変えられない。内見で必ず確認する

よくある質問

Q. 新築とフルリノベ済みマンション、住むならどちらがお得ですか?

物件価格だけでなく、住宅ローンの返済、管理費、修繕積立金、固定資産税、住宅ローン控除を合わせた「毎月の合計」で比べることが大切です。一般に購入価格はリノベ済み中古の方が安く、借入額が少ない分だけ金利上昇の影響も小さくなります。一方、新築はローン控除の枠が大きく、建物の性能が高いのが強みです。

Q. リノベ済みマンションでも住宅ローン控除は使えますか?

使えます。不動産会社がリノベして売る「買取再販住宅」は、一定の要件を満たせば新築と同じ借入限度額(省エネ基準適合住宅で一般2,000万円、子育て世帯等3,000万円、13年)が適用されます。個人が売主の中古は既存住宅の枠になり、省エネ基準の証明がない場合は2,000万円・10年です(2026〜2027年入居)。

Q. 新築マンションの修繕積立金はなぜ上がるのですか?

多くの新築は、最初の負担を軽くするために修繕積立金を低めに設定し、段階的に引き上げる「段階増額積立方式」を採用しているためです。首都圏の新築の修繕積立金は平均で月約1万円(70㎡)ですが、国のガイドラインでは最終的に当初の水準から大きく上がる計画も想定されています。購入前に長期修繕計画で値上げの予定を確認しましょう。

Q. フルリノベでも直せない部分はありますか?

あります。窓サッシ、玄関ドア、バルコニー、共用の縦配管、外壁、構造部分は共用部分のため、個人のリノベでは原則として変えられません。天井の高さや床のコンクリートの厚さ(遮音性)、耐震性も建物で決まります。内見でこれらを確認することが後悔を防ぐポイントです。

主な参考資料

  • 不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ」
  • 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」
  • 東京カンテイ「三大都市圏 新築マンションのランニング・コスト」(2026年7月1日)
  • REDS「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金相場」(2025年度)
  • 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(2024年6月改定)
  • 令和8年度税制改正(住宅ローン控除)、国土交通省「住宅ローン減税」
  • モゲチェック「住宅ローン金利2026年9月の最新動向」

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の物件の購入をすすめるものではありません。住宅ローン控除の適用可否や金額は、個別の条件で変わります。税務署・金融機関・税理士などの専門家にご確認ください。

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