人口減少時代の不動産は二極化する?令和8年の地価公示で見る、上がる地域と動かない地域

あなたへのおすすめ
人口減少時代の不動産二極化 不動産投資
あなたへのおすすめ

「日本の人口が減るなら、不動産はぜんぶ下がるのでは?」と不安になる方は多いと思います。ただ、実際の地価を見ると、地域によって動きがはっきり分かれています。

先に結論をお伝えします。令和8年(2026年)の地価公示では、住宅地の変動率が東京圏で+4.5%、地方圏のその他で+0.6%でした。全国の人口は減っていますが、地価の動きは一律ではありません。関東の中でも、東京都は+6.5%、栃木県は-0.2%と差があります。

この記事でわかること

  • 日本全体の人口の現状(総務省の推計)
  • 令和8年の地価公示で見る、圏域別・関東の都県別の違い
  • 東京圏への人口移動の状況
  • 街ごとに「動き」を確認する順番

対象は、人口減少の時代に不動産購入を考えている方です。個別の街の将来価格を予測する記事ではありません。

現場での経験から

私は大手不動産会社で、査定を12年、物件調査を12年、売買仲介を9年経験し、これまで1,000件以上のご相談をお受けしてきました。

あなたへのおすすめ
あなたへのおすすめ

日本の人口は、いまどうなっているのでしょうか?

結論:総務省の推計では、2026年9月1日現在の総人口は1億2265万人で、前年同月より54万人(0.44%)減っています。

1億2265万人
総人口(2026年9月1日、概算値)
-54万人
前年同月比(-0.44%)
29.5%
65歳以上の割合
10.7%
15歳未満の割合
10.7%15歳未満59.7%15〜64歳29.5%65歳以上日本の人口の年齢構成(2026年9月1日、概算値)
図1:日本の人口の年齢構成。15〜64歳が59.7%、65歳以上が29.5%です。

出典:総務省統計局「人口推計」2026年9月報(概算値)。

人口は減っていますが、不動産の価格は日本全体の人口だけで決まるわけではありません。買い手がどの地域に集まるかによって、動きが変わります。

2026年の地価は、地域によってどれだけ違うのでしょうか?

結論:東京圏の住宅地は+4.5%、地方圏(札幌・仙台・広島・福岡を除く)は+0.6%です。

住宅地商業地東京圏+4.5%+9.3%大阪圏+2.5%+7.3%名古屋圏+1.9%+3.3%地方四市+3.5%+6.4%地方圏(その他)+0.6%+1.1%全国平均+2.1%+4.3%
図2:令和8年地価公示の圏域別の対前年平均変動率。地方四市は札幌市・仙台市・広島市・福岡市です。
地域住宅地(令和7年→8年)商業地(令和7年→8年)
東京圏+4.2% → +4.5%+8.2% → +9.3%
大阪圏+2.1% → +2.5%+6.7% → +7.3%
名古屋圏+2.3% → +1.9%+3.8% → +3.3%
地方四市+4.9% → +3.5%+7.4% → +6.4%
地方圏(その他)+0.6% → +0.6%+0.9% → +1.1%
全国平均+2.1% → +2.1%+3.9% → +4.3%

出典:国土交通省「令和8年地価公示」第3表 圏域別・用途別対前年平均変動率。各地域の変動率は、標準地の変動率の単純平均です。

東京圏の住宅地は2年続けて上昇が大きくなっています。一方、名古屋圏は+2.3%から+1.9%へ、地方四市は+4.9%から+3.5%へと、上昇の幅が小さくなりました。地方圏のその他は+0.6%でほぼ変わっていません。「人口減少だから全部下がる」とも「大都市は全部上がる」とも言えない状況です。

関東の中では、どの地域の地価が動いているのでしょうか?

結論:東京都が+6.5%、千葉県が+4.6%、神奈川県が+3.4%で、北関東は横ばいから小幅です。

東京都+6.5%千葉県+4.6%神奈川県+3.4%埼玉県+2.0%茨城県+1.0%群馬県0.0%栃木県-0.2%
図3:関東の都県別の住宅地の公示地価の対前年平均変動率(令和8年)。
都県住宅地(令和7年→8年)商業地(令和7年→8年)
東京都+5.7% → +6.5%+10.4% → +12.2%
神奈川県+3.4% → +3.4%+6.6% → +7.3%
千葉県+4.5% → +4.6%+5.7% → +5.8%
埼玉県+2.0% → +2.0%+2.8% → +3.2%
茨城県+0.7% → +1.0%+0.8% → +1.0%
栃木県-0.3% → -0.2%0.0% → +0.2%
群馬県-0.3% → 0.0%0.0% → +0.3%

出典:国土交通省「令和8年地価公示」第5表 都道府県別・用途別対前年平均変動率。

同じ関東でも、東京都と北関東の栃木県・群馬県では、住宅地の変動率に6ポイント以上の差があります。また、都県の平均の中にも、駅や地点による差があります。

市区ごとの動きは、このサイトのエリア別の記事でも確認できます。たとえば、浦安、市川、幕張では、住宅地の公示地価が2016年から約1.5倍になり、人口も増えています。

東京圏への人口移動は、続いているのでしょうか?

結論:2025年も東京圏への転入超過は続いていますが、前年より少なくなっています。

112,738人
東京圏の転入超過(2025年、日本人)
-6,599人
前年との差
30年連続
転入超過が続いた年数
65,219人
東京都の転入超過(外国人含む)

出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」。東京圏の数値は日本人移動者、東京都の数値は外国人を含む移動者の転入超過数です。

東京圏への転入超過は30年連続です。ただし、前年より6,599人減っています。人の動きが続いていることと、そのペースが変わりつつあることの両方を押さえておくと、判断を誤りにくくなります。

街ごとに、何をどの順番で確認すればよいでしょうか?

結論:その市の人口の動き、地価の10年の推移、管理と売るときの出口の3点を、この順に確認します。

① 市の人口の動き住民基本台帳で増えているか減っているか② 地価の動き地価公示で、その駅・地点の推移を10年で見る③ 管理と出口管理・修繕積立金と売るときの買い手の付きやすさを見る
図4:街を見分ける順番。全国や都県の平均ではなく、購入する場所のデータで確認します。

不動産の現場から

私は不動産会社で、売買仲介や査定、物件調査に携わった経験があります。査定の現場では、エリアの人気より、個々の物件の管理状態や修繕積立金の積み方で評価が分かれることがよくありました。

お客様からは、「いまの管理費や修繕積立金は払える金額だけれど、将来どのくらい上がるのか」という心配の声をよくうかがいました。人口が減る時代だからこそ、購入前に長期修繕計画で、積立金が段階的に上がる計画かどうかを確認しておくことが大切だと感じています。

確認する項目見るポイント確認先
市区町村の人口直近の住民基本台帳で増えているか、減っているか市区町村の公式サイト
将来推計2050年ごろまでの推計人口国立社会保障・人口問題研究所
地価の推移購入する駅・地点の10年の推移国土交通省「地価公示」
管理と修繕積立金金額が段階的に上がる計画か、積立残高は十分か管理規約・長期修繕計画
売却時の出口広さ・間取りが買い手の多い条件か不動産会社の成約事例
総支払額購入価格に加え、諸費用と住宅ローンの金利を含めて計算ローンの試算表
購入前に確認する順番1. 市区町村の人口直近の住民基本台帳で増えているか、減っているか2. 将来推計2050年ごろまでの推計人口3. 地価の推移購入する駅・地点の10年の推移4. 管理と修繕積立金金額が段階的に上がる計画か、積立残高は十分か5. 売却時の出口広さ・間取りが買い手の多い条件か
【図解】本文のチェック表を、順番にしたもの

人口減少と不動産について、よくある疑問は?

人口が減ると、不動産はすべて下がりますか?

2026年の地価公示では、全国平均で住宅地+2.1%、商業地+4.3%でした。地域によって差が大きく、一律には言えません。

東京周辺なら、どこでも安心ですか?

いいえ。東京圏の平均は+4.5%ですが、駅や地点による差があります。購入する場所の地価の推移と、管理状態を確認してください。

これから下がる街は、どう見分けますか?

将来の価格は断定できません。ただ、市の人口が減っていないか、地価の推移が横ばいか下落になっていないかを、公的データで継続的に確認することはできます。

まとめ

日本の人口は減っていますが、令和8年の地価公示では、住宅地の変動率が東京圏で+4.5%、地方圏のその他で+0.6%と地域差があります。関東でも、東京都は+6.5%、栃木県は-0.2%です。購入前は、その市の人口の動き、地価の10年の推移、管理と売るときの出口の順に確認してください。なお、この記事は購入や投資の勧誘ではありません。最終的な判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。

エリアの比較には、次の記事も役立ちます。

出典一覧:総務省統計局「人口推計」2026年9月報/総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」/国土交通省「令和8年地価公示」。数値は2026年10月時点で確認したものです。

コメント