日本の人口が、2024年に総人口ベースで大きく減り、40年ぶりの水準まで落ち込んだというニュースが話題になりました。「人口が減るなら不動産はぜんぶ下がるのでは?」と不安になったかたも多いはずです。
でも実際には、人口が減っている国のなかでも、価格が上がりつづけているエリアと、下がりつづけるエリアにはっきりと分かれています。この現象が、いわゆる「不動産の二極化」です。
この記事では、次の3つのぎもんに、データをもとにお答えしていきます。
- 人口が減っているのに、なぜ一部のマンション価格は上がりつづけるの?
- これから価格が上がる関東のエリアは、具体的にどこ?
- 逆に、買ってはいけない・下がりやすい街の見分け方は?
✅ さきに結論
人口減少の時代でも、人口が集まりつづける「都心・湾岸・再開発エリア」は上がり、人口が流出する「郊外・駅から遠い街」は下がる——という二極化がさらに進みます。関東でねらい目なのは、都心3区・湾岸・城東の再開発エリア、そして交通利便のよい人気駅です。見分けかたのカギは「人口の増減」「再開発の有無」「駅からの距離」の3点です。
この記事を読むと、人口動態から「上がる街・下がる街」を自分で見分ける力が身につきます。関東の具体的なエリアも、データつきで紹介していきます。(読了めやす:約8分)
40年ぶりの人口減少——いま日本で起きていること
総務省の発表によると、日本の総人口は減少がつづき、1年間の自然減(死亡数−出生数)は過去最大の水準になりました。減少のスピードそのものが、年々はやくなっているのが実態です。
この「40年ぶり」という言葉には、大きな意味があります。日本がこれほどのペースで人口を減らすのは、戦後の混乱期をのぞけば、ほとんど経験のないことだからです。多くのかたが「不動産はもうだめなのでは」と感じるのも、むりはありません。
けれども、人口の中身をよく見ると、東京圏へ人が集まる流れは、むしろ強まっています。地方で減ったぶんの一部が、便利な都市へ移っているのです。だからこそ、日本全体の数字だけを見て「不動産は下がる」と決めつけるのは、少し早すぎる判断だといえます。
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(出典:総務省統計局「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」をもとに作成)
ここで大事なのは、人口が減っても、みんなが均等に減るわけではないという点です。地方から都市へ、郊外から駅近へ、という「人の集中」はむしろ強まっています。だからこそ、不動産の価値も集まる場所と、はなれる場所で大きく差がつきます。
たとえば、おなじ関東のなかでも、都心のマンションは値上がりがつづくいっぽうで、駅からはなれた郊外の住宅は買い手がつきにくくなっています。おなじ「日本の不動産」でも、まったく逆の動きをしているのです。この差は、これからますますひろがっていくと考えられています。
「人口が減るから、とにかく早く売ったほうがいい」と焦ってしまうかたもいますが、それは正しくありません。大切なのは、自分の持っている家や、これから買う家が、どちら側のエリアなのかを見きわめることです。そこさえ間違えなければ、人口減少の時代でも、資産としての不動産はじゅうぶんに役立ってくれます。
我が国の総人口は長期的な減少過程に入っており、(中略)東京圏への転入超過が続いている。
出典:総務省統計局「人口推計」
人口が減っているのに、なぜ価格が上がるの?
「人口減少=地価下落」と単純に考えると、この数年のマンション高騰は説明できません。じつは価格をおし上げている要因は、人口以外にもいくつもあります。おもな理由を整理してみましょう。
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(出典:国土交通省「不動産価格指数」、不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向」をもとに作成)
つまり、人口という「1つの要因」だけでは、いまの不動産は語れないということです。人口が減っても、需要が集まる場所では、これらの要因が重なって価格を支えています。
とくに大きいのが、建築費の上昇です。マンションを1棟建てるのにかかる費用は、この数年で大きくふえました。材料の値段が上がり、工事をする職人さんも足りていないためです。原価が上がれば、新しく売り出されるマンションの値段も上がります。これは人口とは関係なく、全国どこでも起きている動きです。
さらに、世帯の数にも注目してみてください。人口は減っていても、一人ぐらしや共働きのふえた影響で、「世帯」の数はしばらく大きくは減りません。家を必要とする単位はまだ多く、これも都市部の需要をささえています。
💡 都心の値上がり事例を知りたいかたへ:→ 恵比寿の1K・1LDKマンション投資は今後値上がりする?坪単価で検証
これから価格が上がる関東エリアは?
関東で上がりやすいのは、人が集まりつづける都心・湾岸・城東の再開発エリアです。ここでは4つのタイプにわけて、具体的なエリアを見ていきます。
①都心3区(千代田・港・中央)——資産価値の王道
もっとも下がりにくいのが、都心3区です。港区の麻布十番や、中央区の湾岸エリアは、坪単価500万円超の水準でも需要が絶えません。海外マネーとパワーカップルが支え、供給も限られるためです。
都心3区は、そもそも土地に余裕がありません。新しいマンションを建てようにも、まとまった土地が少ないため、供給がふえにくいのです。ほしい人は多いのに、物件の数がかぎられている——だから価格が下がりにくい、というわけです。景気が多少わるくなっても、真っ先に買われるのはこうしたエリアです。
💡 港区エリアの相場を知りたいかたへ:→ 麻布十番のマンション相場2026|坪単価・人口推移・値上がり予測
②湾岸・タワマンエリア(豊洲・有明・勝どき)
再開発で街ごと新しくなった湾岸は、交通と生活利便が一気に向上し、ファミリー需要を集めています。ただしタワマンは管理費や液状化など、注意点もあります。
💡 湾岸タワマンのリスクも確認したいかたへ:→ 豊洲・有明のタワマン購入前に知るべきこと|液状化・管理費
③城東・再開発エリア(押上・錦糸町など墨田区)
スカイツリー周辺の押上・錦糸町は、再開発と交通の良さで注目度が上がっています。都心よりも価格が手ごろで、これから伸びる余地が大きいエリアです。
墨田区は、これまで「下町」のイメージが強い街でしたが、スカイツリーの開業をきっかけに、街の雰囲気が大きく変わりました。新しいマンションやお店がふえ、若いファミリー層が移り住んでいます。都心へのアクセスもよく、価格はまだ都心ほど高くないため、伸びしろという点ではとても魅力的なエリアといえます。
④人気の生活利便エリア(三軒茶屋・恵比寿など城南)
三軒茶屋や恵比寿のように、「住みたい街」で上位の常連は、景気に左右されにくいのが強みです。人口が集まる街は、売るときも貸すときも買い手が見つかりやすくなります。
城南エリアのもうひとつの強みは、賃貸の需要が安定していることです。もし将来、住まなくなっても、人気の街なら借り手がすぐに見つかります。「売る」だけでなく「貸す」という選択肢を残せるのは、資産としてとても心づよいポイントです。
【エリア別】関東の坪単価・将来性 早見表
主要エリアの坪単価のめやすと、将来性の方向をまとめました。数字はあくまで目安ですが、エリアごとの「格の差」がひと目でわかります。
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(出典:イエシル・国土交通省「不動産価格指数」・各種マンション相場データをもとに作成(2026年時点のめやす))
💡 城西の割安エリアが気になるかたへ:→ 荻窪・西荻窪のマンションはなぜ割安?買い時・値上がり予測
逆に「下がる街」を見分ける3つのサイン
二極化のもう片方、価格が下がりやすい街にも共通点があります。次の3つのサインが重なる場所は、慎重に考えたほうが安心です。
サイン①:人口が減りつづけている
もっとも大事なのが人口です。生産年齢人口(15〜64歳)が減っているエリアは、住宅の買い手そのものが細っていきます。市区町村の人口ビジョンは、役所のサイトで確認できます。
とくに見ておきたいのが、子育て世代がふえているかどうかです。若い世帯が集まる街は、学校や商業施設もにぎわい、街全体に活気が生まれます。逆に高齢化だけが進む街は、時間をかけてゆっくりと需要が細っていきます。数年先ではなく、10年・20年先を見すえて選ぶことが大切です。
サイン②:駅から遠い・交通が不便
これからは駅からの距離がますます効いてきます。バス便のみ、駅まで徒歩20分といった立地は、便利な街に人が移るほど売りにくくなります。
サイン③:再開発や新しい需要がない
新しい商業施設や交通インフラの計画がない街は、価値が上がるきっかけを持ちません。「古いまま変わらない郊外」は、二極化のなかで取り残されやすいエリアです。
💡 タワマンと戸建ての上がり方をくらべたいかたへ:→ タワマンと一軒家、どちらが上がってどちらが下がるのか
2026〜2030年、関東の不動産はどうなる?
今後の見とおしを、3つのシナリオで整理しました。どのシナリオでも、二極化はさらに進むという点は共通しています。
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(出典:各種民間調査・国土交通省データをもとに筆者作成(見とおしであり将来を保証するものではありません))
💡 千葉エリアの狙い目を知りたいかたへ:→ 船橋市の中古マンション相場、安くなるのはいつ?狙い目エリア
よくある質問
Q. 人口が減るなら、いま家を買わないほうがいい?
A. 一概には言えません。上がるエリアを選べば、人口減少のなかでも資産は守れます。大事なのは「どこを買うか」です。人口が集まる街を選ぶことが、いちばんのリスク対策になります。
もし予算にかぎりがあるなら、無理に都心にこだわる必要はありません。城東や城西の、駅から近くて再開発のあるエリアなら、手のとどく価格で資産性も保てます。自分の予算のなかで「上がるサインの多い街」を探す、という考えかたが現実的です。
Q. 関東で初心者がねらうなら、どのエリア?
A. 予算が許すなら都心・湾岸、手ごろさ重視なら城東(押上・錦糸町)や城西(荻窪)の駅近がバランスよくおすすめです。いずれも人口と交通の条件がそろっています。
Q. 郊外の家は絶対に下がる?
A. すべてではありません。駅近・再開発あり・生活利便が高い郊外なら、値くずれしにくい物件もあります。「郊外だから」ではなく、街ごとの条件で判断してください。
じっさい、郊外でも大きな駅の近くや、新しい路線が通る予定のエリアでは、価格がしっかり保たれている例があります。だいじなのは「郊外か都心か」という大きなくくりではなく、その街に人が集まる理由があるかどうかです。ひとつの物件ごとに、ていねいに条件を見ていきましょう。
上がる街・下がる街を見分けるチェックリスト
ここまでの内容を、じっさいの街えらびで使えるように、チェックリストにまとめました。気になるエリアがあれば、次の項目をひとつずつ確認してみてください。あてはまる「上がるサイン」が多いほど、資産価値は守られやすくなります。
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(出典:本記事の各種データをもとに筆者作成)
たとえば、ある郊外の駅で「人口は減っているけれど、駅前に大きな再開発の計画がある」というケースもあります。この場合は、計画が実際に動いているかどうかをよく調べることが大切です。計画が発表されただけで止まっている街も少なくないため、役所や公式サイトのお知らせで、進みぐあいを確認してみてください。
また、いくつかのエリアで迷ったときは、実際に現地を歩いてみることを強くおすすめします。平日と休日、昼と夜で街の表情はちがいます。人どおりの多さ、お店のにぎわい、新しいマンションの数——こうした肌で感じる情報は、データだけではわからない大切なヒントになります。数字と現場、両方の目で見ることが、失敗しない街えらびのコツです。
まとめ|人口減少時代は「街えらび」がすべて
人口が40年ぶりに大きく減っても、関東の不動産はいっせいに下がるわけではありません。人が集まる都心・湾岸・再開発エリアは上がり、人がはなれる郊外は下がる——この二極化が、これからの基本の形です。
言いかえれば、これからの不動産えらびは「どの街を選ぶか」でほとんどが決まる、ということです。おなじ予算でも、選ぶ街によって10年後の資産価値は大きく変わります。あわてて決めず、この記事で紹介したデータや早見表を手もとに置きながら、じっくり比べてみてください。
見分けかたのカギは、くり返しになりますが「人口の増減・再開発の有無・駅からの距離」の3点です。この記事の早見表を、あなたの街えらびの参考にしていただけたらうれしいです。

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