預金金利が少し上がってきた今、「個人向け国債 変動10年って、結局どうなの?」と気になっていませんか。
個人向け国債 変動10年は、国が発行する債券で、半年ごとに利率が見直される商品です。
2026年10月に募集中の第199回は、初回の利率が年2.05%(税引前)と公表されています。
ただし、この数字がずっと続くわけではありません。
この記事では、財務省の公表資料をもとに、個人向け国債 変動10年の仕組み・最新の利率・中途換金・向き不向きを、図解つきで整理します。
先に結論です。
・元本割れしにくい(額面100円につき100円で戻る)
・金利が上がれば、受け取る利子も増える
・ただし、発行から1年は原則として換金できない
・金利が下がれば、利子も減る(下限は年0.05%)
つまり、「しばらく使わない現金の置き場所」として考える商品です。
※本記事は情報の整理であり、特定の商品の購入をすすめるものではありません。最新の条件は、必ず財務省や取扱金融機関でご確認ください(確認日:2026年10月19日)。

個人向け国債 変動10年とは?まず基本を整理
個人向け国債 変動10年は、満期が10年の「変動金利型」の国債です。
変動金利型とは、利率が一定期間ごとに見直される仕組みのこと。
住宅ローンの変動金利をイメージすると、わかりやすいかもしれません。
基本のルールは、次の表のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 満期 | 10年 |
| 金利タイプ | 変動金利(半年ごとに利率を見直し) |
| 利子の受け取り | 半年ごとに年2回 |
| 最低金利 | 年0.05%(下限あり) |
| 購入できる額 | 1万円から1万円単位 |
| 償還金額 | 額面100円につき100円(中途換金時も同じ) |
| 中途換金 | 発行から1年経過すればいつでも可能 |
| 発行頻度 | 毎月(年12回) |
| 税金 | 利子に対して20.315% |
出典:財務省「変動10年」商品概要。
ここで押さえたいのは、次の2点です。
利率は変わるが、下限(年0.05%)がある。
元本は100円につき100円で戻る。
株式のように、価格が日々動いて元本が減るタイプの商品とは、性質が違います。
利率はどう決まる?「基準金利×0.66」の仕組み
個人向け国債 変動10年の利率は、次の式で決まります。
適用利率=基準金利×0.66(下限0.05%)
基準金利とは、直前に行われた「10年固定利付国債」の入札結果(平均落札利回り)です。
つまり、10年国債の利回りが上がれば、変動10年の利率も上がります。

第199回の計算例
2026年10月募集の第199回では、基準金利が3.10%でした。
3.10%×0.66=2.046%となり、公表された初回の適用利率は年2.05%です。
この2.05%が適用されるのは、最初の半年間です。
2回目以降の利率は、その時点の基準金利で決まります。
今後も2.05%が続くとは限らない点に、注意してください。
最新の利率は?2026年の推移を確認
2026年に募集された変動10年の初回利率を、財務省の公表資料で確認します。

| 回号 | 募集時期 | 基準金利 | 初回の適用利率(税引前) |
|---|---|---|---|
| 第196回 | 2026年7月 | 2.73% | 1.80% |
| 第198回 | 2026年9月 | 2.96% | 1.95% |
| 第199回 | 2026年10月 | 3.10% | 2.05% |
出典:財務省 個人向け国債の発行条件(報道発表資料)。第197回は省略しています。
この期間は、基準金利が上がるにつれて、初回の利率も上がっています。
金利上昇局面では、変動金利型が有利に働きやすいのが、この商品の特徴です。
一方で、金利が下がる局面では、受け取る利子も減ります。
今後の金利は、誰にも断定できません。
だからこそ、「上がったら得、下がったら損」というゲームではなく、下限があり、元本が守られる置き場所として考えるのが現実的です。
もし金利が動いたら?利子の変化を試算
仕組みを理解するために、基準金利が変わった場合の利子を試算します。
※以下は計算の練習用の仮定です。将来の金利を予測するものではありません。
| 基準金利(仮定) | 適用利率(×0.66) | 100万円の年間利子(税引前) | 同(税引後の目安) |
|---|---|---|---|
| 4.00% | 2.64% | 26,400円 | 約21,037円 |
| 3.10%(第199回) | 2.05% | 20,500円 | 約16,335円 |
| 2.00% | 1.32% | 13,200円 | 約10,518円 |
| 1.00% | 0.66% | 6,600円 | 約5,259円 |
基準金利が半分近くになっても、利率が0になることはありません。
下限は年0.05%があるためです。
逆に基準金利が上がれば、利子も増えます。
「上がったときは増え、下がったときも下限で守られる」のが、変動10年の設計です。
固定5年・固定3年とどっちがいい?比較表
個人向け国債には、変動10年のほかに「固定5年」「固定3年」があります。
2026年10月募集分(募集期間:10月8日〜10月30日)を並べてみます。

| 項目 | 変動10年(第199回) | 固定5年(第187回) | 固定3年(第197回) |
|---|---|---|---|
| 初回の利率(税引前) | 2.05% | 2.39% | 2.07% |
| 利率の決め方 | 基準金利×0.66 | 基準金利−0.05% | 基準金利−0.03% |
| 利率の変動 | 半年ごとに見直し | 満期まで固定 | 満期まで固定 |
| 満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
出典:財務省 報道発表資料(2026年10月7日)。
数字だけを見ると、いまは固定5年(2.39%)のほうが、変動10年(2.05%)より高い状態です。
ただし、これは「初回」の比較にすぎません。
変動10年は、今後の基準金利しだいで、利率が上がることも下がることもあります。
選び方の目安
考え方を整理すると、次のようになります。
・今後、金利が上がると考える → 変動10年が向く
・今の利率を満期まで固めたい → 固定5年・固定3年が向く
どちらが得かは、将来の金利で決まります。
「今の数字が高いから固定」「上がりそうだから変動」と、予想で決め切らないことも大切です。
利子はいくらもらえる?税引後のシミュレーション
利率2.05%が1年続いたと仮定して、税引後の利子を計算します。
利子には20.315%の税金がかかるため、税引後の利率は約1.6335%です。

| 購入額 | 税引前の利子(年) | 税引後の利子(年) |
|---|---|---|
| 100万円 | 20,500円 | 約16,335円 |
| 300万円 | 61,500円 | 約49,006円 |
| 500万円 | 102,500円 | 約81,677円 |
実際には半年ごとに利率が変わるため、これはあくまで目安です。
想定ケース:使う予定のない300万円がある場合
※以下は、説明のための想定ケースです(実在の個人の体験談ではありません)。
たとえば、生活費の数か月分とは別に、当面使う予定のない300万円があるとします。
普通預金に置いたままだと、利子はごくわずかです。
変動10年に回し、利率2.05%が1年続けば、税引後で約4.9万円の利子になります。
ただし、利率が下がれば、この金額は減ります。
そして1年たつまでは、原則として現金に戻せません。
この「動かせない期間」を許せるかどうかが、判断の分かれ目です。
中途換金のルールと、差し引かれる金額
変動10年は、10年待たなくても、途中で現金に換えられます。
ただし、条件があります。

押さえておきたい3つのルール
① 発行から1年は、原則として換金できない
② 1年経過後は、いつでも換金できる
③ 換金時は、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる
元本は額面100円につき100円で戻ります。
差し引かれるのは、利子のほうです。
100万円を換金する場合の計算例
利率2.05%、100万円の場合で見てみましょう。
半年分の利子(税引前)は、約10,250円です。
2回分で20,500円。これに0.79685をかけると、約16,334円です。
この約16,334円が、換金のときに差し引かれます。
なお、0.79685は「1−0.20315(税率)」と同じ数字です。
つまり、直前1年分の利子の税引後相当額が、換金のコストになるイメージです。
1年未満でも換金できる例外
次の場合は、期間に関係なく換金できます。
・災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害の被害を受けた場合
・保有者が亡くなった場合
デメリットと注意点|よくある悩みを整理
メリットだけでなく、事前に知っておきたい注意点もまとめます。
悩み1:金利が下がったら、損をするの?
利率が下がれば、受け取る利子は減ります。
ただし、下限が年0.05%あり、元本は額面どおり戻ります。
「利子が減る」ことと、「元本が減る」ことは、別の話です。
悩み2:急にお金が必要になったら?
1年を過ぎれば、換金できます。
ただし、その時点で約1年分の利子相当額が差し引かれます。
1年以内に使う可能性があるお金は、預金など別の置き場所にするほうが安全です。
悩み3:物価が上がったら、実質的に目減りしない?
物価の上昇率が利率を上回れば、お金の「価値」は目減りします。
変動10年は、元本が減らない代わりに、大きく増える商品ではありません。
増やす役割は、別の手段に任せる考え方もあります。
悩み4:NISAで非課税にできないの?
新NISAの対象は、株式や投資信託などです。個人向け国債は、NISAの対象ではありません。
そのため、利子には20.315%の税金がかかります。
財務省の案内では、障害者等の非課税貯蓄制度(マル優・特別マル優)の対象になる場合がある、とされています。
詳細は、税務署などで確認してください。
悩み5:いつ買うのが一番お得?
変動10年は毎月募集されます。
購入のタイミングで、初回の利率が変わります。
ただ、ベストなタイミングを当てることは、誰にもできません。
半年ごとに見直されるため、タイミングの影響は、固定型より小さいのが変動型の特徴です。
値動きしにくい理由|通常の国債との違い
「国債は価格が変動して、損をすることがある」と聞いたことがあるかもしれません。
市場で売買される一般の国債は、金利の動きで価格が上下します。
一方、個人向け国債は仕組みが違います。
・償還金額は、額面100円につき100円
・中途換金のときも、額面100円につき100円
市場価格の変動で、元本が増減する商品ではありません。
ただし、中途換金では、利子相当額が差し引かれます。
「元本は守られるが、途中で換金すると利子の一部を失う」と覚えておくと、わかりやすいでしょう。
知っておきたい用語集
商品ページで出てくる用語を、かんたんに整理します。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 基準金利 | 利率を決める元になる金利。直前の10年固定利付国債の入札結果(平均落札利回り) |
| 適用利率 | 実際に利子の計算に使われる年率。基準金利×0.66 |
| 利子計算期間 | 利率が適用される半年ごとの期間。期間ごとに利率を見直す |
| 額面 | 国債に記載された金額。償還時に、額面100円につき100円が戻る |
| 償還 | 満期を迎え、元本が戻ること |
| 中途換金 | 満期前に、国に買い取ってもらい現金に換えること |
聞き慣れない言葉が多いですが、中心は「基準金利×0.66」の1式だけです。
購入前に自分に聞きたい5つの質問
購入を決める前に、次の質問に答えてみてください。
① このお金を、1年以内に使う予定はないか?
② 生活費の数か月分は、別に確保できているか?
③ 利率が下がっても、納得できるか?
④ 増やすお金と、守るお金を分けて考えているか?
⑤ 税金(20.315%)を引いたあとの利子で、目的を満たせるか?
①と②に「はい」と答えられないうちは、購入を急がないほうが安心です。
まず、守るお金の土台を固めることが、先決です。
向いている人・向かない人
ここまでの内容を、チェックリストにまとめます。

向いている人は、次のような方です。
・元本割れしたくない
・金利が上がる局面にも備えたい
・1年以上は使わないお金がある
向かない人は、次のような方です。
・1年以内に使う予定がある
・株式のような値上がり益を狙いたい
・金利が下がる局面が不安
NISA・iDeCoではなく「個人向け国債」を選ぶメリット
NISAやiDeCoは、安心して使える制度として広く知られています。
それでも、この記事にたどり着いた方は、「NISAやiDeCo以外の選択肢も知りたい」と考えているのではないでしょうか。
実際、NISAやiDeCoが合わない人もいます。
たとえば、元本が減る可能性のある商品に、抵抗がある方です。
そうした方にとって、個人向け国債には、独自のメリットがあります。

メリット1:元本が額面で戻る
償還金額は額面100円につき100円で、中途換金のときも同じです。
NISAで買う株式や投資信託のように、価格が下がって元本が減る商品ではありません。
「とにかく元本を減らしたくない」という方には、大きな安心材料です。
メリット2:金利が下がっても、下限がある
変動10年の利率には、年0.05%の下限があります。
どれだけ金利が下がっても、利率がゼロやマイナスになることはありません。
メリット3:金利が上がれば、利子も増える
利率は半年ごとに見直されるため、基準金利が上がれば、利子も増えます。
固定金利の商品のように、「低い利率のまま縛られる」ことがありません。
メリット4:1万円から、手続きもかんたん
購入できるのは、1万円から1万円単位です。
銀行・証券会社・ゆうちょ銀行などの取扱金融機関で申し込めます。
投資の知識がなくても、始めやすい商品です。
メリット5:1年後からは、いつでも換金できる
iDeCoは、原則として60歳になるまで引き出せません。
変動10年は、発行から1年が過ぎれば、いつでも現金に戻せます。
ただし、換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれます。
メリット6:国が発行する債券
個人向け国債は、国が発行する債券です。
元本と利子は、国が支払う仕組みになっています。
NISA・iDeCoに劣る点も、知っておきましょう
メリットだけではありません。
個人向け国債は、NISAのように運用益が非課税になる制度ではありません。
利子には20.315%の税金がかかります。
また、iDeCoのように、掛金が所得控除になる仕組みもありません。
さらに、大きく増える商品ではないため、長期で資産を増やす力はNISAに及びません。
どちらか一方ではなく、役割を分けて考える
NISAやiDeCoは「長期で増やす」ための制度です。
個人向け国債は「元本を守りながら、置いておく」ための商品です。
役割が違うため、「どちらが優れているか」ではなく、「お金ごとの目的に合うか」で考えるのが現実的です。
預金・NISAとの使い分けの考え方
お金の置き場所は、「いつ使うか」で決めると整理しやすくなります。

図の流れを、言葉にするとこうなります。
1〜2年以内に使うお金 → 普通預金・定期預金
元本割れを避けたい、しばらく使わないお金 → 個人向け国債など
10年以上の長期で増やしたいお金 → 新NISAなど
私は不動産の査定や仲介の現場で、住宅ローンの金利に悩む方を数多く見てきました。
そこで感じるのは、「金利が上がるか下がるか」を当てようとするより、金利が動いても困らない形にしておくことの大切さです。
住宅ローンの金利と手元資金の考え方は、次の記事でも整理しています。
銀行預金とネット証券でNISAを始める場合の違いは、こちらです。
日銀の利上げが家計に与える変化は、こちらをご覧ください。
買い方の流れと、購入前のチェック
個人向け国債は、銀行・証券会社・ゆうちょ銀行などの取扱金融機関で購入できます。
購入の流れは、次のとおりです。
① 取扱金融機関で口座を用意する
② 募集期間中に、購入を申し込む
③ 発行日に購入が成立し、半年ごとに利子を受け取る
たとえば第199回は、募集期間が10月8日〜10月30日、発行日が11月16日です。
購入前に、次の3点を確認しておきましょう。
・1年以内に使う予定のないお金か
・利率が下がっても許容できるか
・取扱金融機関の最新の募集条件
よくある質問
Q. 個人向け国債 変動10年は、元本割れしますか?
償還金額は額面100円につき100円で、中途換金時も同じです。
ただし、中途換金では直前2回分の利子相当額が差し引かれます。
Q. 1年以内に売ることはできますか?
原則としてできません。
例外は、大規模な自然災害の被害を受けた場合と、保有者が亡くなった場合です。
Q. 利率の下限はありますか?
あります。年0.05%です。
Q. 利子はいつもらえますか?
半年ごとに、年2回受け取ります。
Q. いくらから買えますか?
1万円から、1万円単位で購入できます。
まとめ|変動10年は「動かさないお金」の置き場所
最後に、要点を整理します。
・利率は「基準金利×0.66」。半年ごとに見直され、下限は年0.05%
・第199回(2026年10月募集)の初回利率は年2.05%(税引前)
・発行から1年は原則換金できず、換金時は直前2回分の利子相当額が差し引かれる
・利子には20.315%の税金がかかり、NISAの対象ではない
「元本割れしにくく、金利上昇にも備えたい」という、しばらく使わないお金に向いた商品です。
一方で、すぐ使うお金や、大きく増やしたいお金の置き場所には向きません。
最新の利率や条件は、財務省の個人向け国債のページで確認できます。
購入を検討するときは、ご自身の資金計画に合わせて、取扱金融機関にも相談してください。


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